HOME 2014/3/31
TRIO TS770 144,430MHz ALLMODE トランシーバー 10W
1979年約35年前の発売 当時184800円の高級機 AC電源内臓 第一印象 大きく重い
サービスマニュアル
TS770の取扱説明書はケンウッドのホームページからダウンロードできます。
電源は入ります。送受全くできず。故障品入手 ヤフオクの動作確認なしは故障品と言うことですね!! 4100
この機種は劣化することで有名な2SC460が多数使われています。
目に付いた460を基盤を取り外して全て24本交換しました。しかし劣化は認められず、測定値は下記のとおりです。Hfe54から102までばらついています。
リード線の黒色化も認められません。
手持ちに多量にあった2SC2668 FT550MHz IC20mA を使用しました。 なんでもよいと思います。
交換の場所は http://www.hi-ho.ne.jp/hida/h_made38.htm 同じ2SC460でも丸型と四角型の2種類あります。 回路図と違い一部他のトランジスターが使われていました。
交換しましたが、改善しません。
まず電源を確認。少々ずれていますが、電圧は正常です。全て規定値に調整しました。
左のシールドがVCO、右がAVRユニットです。
両バンドダメと言うのは共通回路が不良ということになります。
一番の可能性はPLLです。案の定 PLLのアンロック信号が出ています。
これを理解してください。不良個所の特定に役立ちます。
昔の機械のためPLLのロック範囲が狭く430MHzの10MHzを2バンドに分けてカバーしています。
ダイヤルは000.0から999.9までです。1MHz以上動かすためにはバンドUP,DOUNのSWで切りかえます。
430MHzのバンド用のXtal発振回路も2SC460ですので交換したところHi,Lo共に規定値まで調整できなくなってしまいました。
16.1666MHz と 15.888MHz のXtalを切りかえています。X3 X2 X3 と18倍もしています。スペアナがない場合はいじらないほうがよいと思います。信号がいっぱい出ていてどれが、正規の信号か分からなくなります。
16.166*18=291MHz、15.888*18=286MHz この2バンドの信号にPLLからの出力122.4から127.4MHzの信号を加算して更に21.6MHzの信号を加算して430MHzの信号を作り出しています。
多数の信号が発振されていますから、高性能なフルターの使用が不可欠です。調整も大変。
TS780では大幅に改良されています。回路も簡単になっています。
更に最近の無線機ではPLLで直接目的周波数を発振させてミキサーの使用を少なくしています。スプリアスも少なくなります。
PLL、VCOも1個のICで終わり。コントロール基盤もIC1個ソフトウエアーコントロールです。技術の革新を感じます。
各部の発信出力を確認したところVCOの出力がありません。
VCOユニットです。122.4から127.4MHzをPLLからの電圧によって発振しています。これが動作していませんでした。
発信の2SK19GRを交換しましたが発振しません。?電圧は正常です。?
30年も立つ機械です。各端子の半田をやり直してみました。
成功!! 発振を始めました。
不良は下図Q1のVCOです。
修理中ヒューズが飛び電源が壊れました。TR交換して修理しました。故障個所が立ち代り発生します。
このTRです。
同等品に交換 修理完了
これはRFユニットです。右下の同軸がアンテナからの入力です。中央の大きな箱が430MHzのフィルター
430MHzの受信トップは2SC2549です。当時はガリヒ素FETは高価で採用できなかったのでしょうか?
下の真鍮のユニットが144MHzです。上半分が送信プリアンプです。
430MHZPWアンプユニット 小型の同軸リレーが使われています。
ファイナルトランジスター 2SC2103A(144MHz) 2SC2381(430MHz)
受信も送信もOKです。
SSBの時にSメーターが無信号時に振れています。AGCがずれていました。
IFユニットのJ8のRFIの電圧をVR5調整して1.7Vに設定でOK
PLL(b)ユニットです。
周波数が大幅にずれています。
各々のXtalの発振周波数を全て調整しました。
PLL(A)ユニット
今の機械はCR2032等の電池でバックアップしていますが、当時の機械は消費電流が多い(30mA)ので電池を持っていません。
100Vのコンセントを抜くと設定を全て忘れてしまいます。TS780は単三電池でバックアップしています。
分かる所は全て調整しました。特にPLLは重要です。結構ずれていました。
PLL(A)ユニットのTP7の電圧をダイヤル000.0の時に1.2VになるようVCOのL1を調整
PLLの出力周波数は122.4-127.4MHzです。
TS770はテストポイントが多数あります。1o角のポストと抵抗の足を使ったポイントもあります。普通の抵抗のリードは被覆をかぶっていますが、テストポイントを兼ねた抵抗は足の被覆がありません。良く考えられています。
ミクサーユニット
IFユニット
受信トップ 3SK40(144MHz) 2SC2549(430MHz) 両方とも最新のNFの低い素子に交換したいです。
受信感度はNS10dbで144MHz-18db 430MHz-13db です。
144MHz PWユニット 出力17W
IFユニットのTP6 にTC3を調整して 21.6000MHzに調整
USB時 TP9にL27を調整して30.4300MHz
AF ユニット
AFユニット スピーカーは左下の2P端子につなぎます。中央の丸は圧電スピーカー
受信トップ部分 受信感度144MHz -21db スケルチオープン 432MHz -15db スケルチオープン
左側がCARユニット
CARユニット TR交換しました。
FMの時 TC3で8.8300MHZに調整
USB時 TC1で8.8315MHzに調整
LSB時 TC4で8.8285MHzに調整
CW時 TC2で8.83070MHzに調整
430MHzの局発 5MHzづつ2回路有ります。
両方ともにコアを目いっぱい入れても周波数が既定の周波数になりません。
仕方がないのでコイルに並列に入っている1pFのCを3pFに交換しました。
コントロールユニット RFユニットを外さないと見えません。今ならIC1個です。
少々ピンボケですが、此処のコネクターの刺し間違いに注意してください。この写真が正解
モードの切り替えスイッチがメインダイヤルに機械的につながっておりFMモード時には周波数スッテプを変更して更にクリック感を出しています。
SSB,CWでは100Hz単位で、FMでは1KHz単位で、FMCNでは10KHz単位でダイヤルが変化します。
ところがモードSWを切りかえると10KHz単位の周波数が変更できません。SW3-a,SW3-b は変わっていません。
実物を確認するともう1回路あります。回路図再確認-有りました。別の離れたところにFMCNの切り替えがありました。SW3-c
基盤の裏表を確認 両面スルーホールで半田不良はありそうもありません。
この74LS02が怪しそうなので交換してみます。以前は全品番手持ちがあったのですが、もう使わないとすべて捨ててしまいました。
取り外し
交換しましたが改善しません。残りは基盤上の信号回路に入っている電解コンデンサー全ての交換だと思います。
一番奥にある、基盤を取り出すのが大変で次回に気の向いたときにやってみます。